「走り幅跳び」での「踏切前の沈み込みのやり方とコツ」について説明します。


1. 踏切前の沈み込みのやり方

助走の最後にあたる踏切前の沈み込みは、その分少しエネルギーロスになりますが、横方向の最大速度エネルギーを跳躍する方向に運動と位置エネルギーに変換して遠くに跳ぶことができるわけです。

この沈み込みには色々なやり方があり、当然個人差がでます。

これは、個人によって得手不得手、すなわちやりやすさやりにくさがあるのです。

まっすぐに走って行って、踏切のところに、踏切板や踏み台があるとか、階段の1段か2段くらいの段差があって、それらを踏んで跳ぶと、速い助走スピードのまま、高く跳ぶことができ、大きな距離を進むことができます。

実際の走り幅跳びでは、そのような段差はないので、同じような効果を生み出すためには、踏切前に、少し沈みこんでおく必要があります。

上達するために、いくつかの方法があります。

自分に合ったどの方法を選ぶにしても、練習での習得しかありません。

(a)踏切2歩前の1歩を少し高く跳んで、その落下速度を大きくすることにより、踏切1歩前に沈み込むという方法です。

高く跳び過ぎてしまうと、距離がのびてしまい、踏切位置が狂ってしまいます。

また、沈みすぎてしまうということにもなります。

「少し高く跳んで」というところを、自分なりに調整してゆくことになるわけです。

この方法は、確実なものですが、走り幅跳びではかなり難しいものです。

(b)「踏切1歩前でキック脚の力を抜く」という、シンプルなものです。

上の(a)の方法では、踏切2歩前を強くキックすることにより、踏切1歩前で、重力に対して「力負け」をして沈み込むというアイディアですが、この方法では、そんな難しいことをしなくても、直接踏切1歩前で「キック脚の力を抜けばよい」ということです。

実際に、うまくやっている選手は、(a)と(b)を組み合わせています。




踏切2歩前で、ほんの少しだけ、ストライドを伸ばすような動きで、わずかに高く跳んで、次の1歩前で、キック脚の力を抜いて、イプシロンクランクキックという重心の低いフォームを生みだすわけです。


2. KRの方法とは

(c) 三つ目の方法は、もっと簡単なもので、「KRの方法」です。

「KRの方法」は、踏切2歩前までは、何もややこしいことをしないで、おもいっきり速く走ることだけに気をつけて、踏切1歩前に、その足を、すこしだけ外側に踏み出すというものです。

このような動作だけで、踏切1歩前の沈み込みは、充分行うことができて、しかも、スピードをほとんど失うことがありません。

この方法の問題点は、踏切1歩前を、すこし外側で踏んで踏切に進むため、跳び出すときの方向が、わずかに斜めになってしまうということです。

実際に、砂場の中央ではなく、少し外枠に近いところに着地しています。

しかし、砂場の外に出るとか、外枠にぶつかってしまうというところまではいきません。

斜めに跳ぶための、まっすぐに測る距離のロスは、ほんのわずかで、数センチくらいのものです。

このような、距離についてのわずかなロスは、「ややこしい動きをして助走スピードを減らすこと」を避けるという利点でおぎなうことができます。

これは、初心者から上級者まで、走り幅跳びではおすすめの方法です。

青色の左脚を、やや外側につくことにより、腰を下げる動作をやりやすくしていることが分かります。
この、1歩前のキックが強いものであるため、さらなるスピードアップを行うのですが、このため、踏切へは、斜めに進むこととなってしまいます。

そして、砂場の中央にではなく、あと10センチか20センチを残して、砂場の外わくに近いところへと着地するのです。

このようにして、自分に適した踏切前の沈み込みのやり方を常に考えてよく練習し上達しましょう。