「走り幅跳び」での「踏み切りと空中姿勢の連携プレーのやり方とコツ」について説明します。


1. 「踏み切りと空中姿勢の連携プレーのやり方」について

踏み切りと空中姿勢の連携プレーに直結する腰の動きに注目した走り幅跳びの踏み切り技術の改善による練習と上達について述べます。

課題はなんでしょうか。

走り幅跳びのパフォーマンスは、助走・踏み切り・空中・着地の四つの局面によって構成されますが、ここでは踏み切りから空中に移行する際の腰の動きに着目します。

踏み切りでは、助走で獲得した水平速度を出来る限り減速させずに、鉛直速度を獲得しなければなりません。

その動作は 0.2 秒以内の短時間に遂行されなくてはならず、爆発的な力を地面から受けることになります。

一方、走り幅跳びの踏み切りは、「足や膝で踏み切るのではなく、腰で踏み切る」というわざが利用されます。

腰は身体の中心にあり、大きな筋群が多数存在する部位です。

「腰で踏み切る」ということは、最も大きな腰が発揮した力を主動源として、その他の関節は腰がうまく使える位置に配列するということを意味しています。

目的を明確にしましょう。

走り幅跳び選手は、踏み切り動作中における腰(骨盤周囲)の動きが大切であるという考えで、自身のトレーニングの中に、腰を積極的に利用した踏み切りドリルや歩行ドリルを取り入れます。


2. 基本的な考え方は次のとおりです

(1)腰周りの柔軟性の改善と腰への意識づくり

大転子ではなく、仙腸関節を中心にして上前腸骨棘を動かす、すなわち骨盤から動き出すためのトレーニングドリルが必要であることを考えます。

このために、肩に棒を乗せて、その慣性を利用することによって上体の回転を抑え、腰だけの回転によって脚を前に持ってくることを強調した歩行ドリルを考えます。




一直線上を歩くことによって、腰に強い捻り動作が発生し、骨盤周囲の柔軟性を改善し、腰の回転を意識させることができます(骨盤強調型歩行)。

(2)腰による上下運動の習得

接地前に、仙腸関節中心にして上前腸骨棘を動かしながら腰を引き上げ、今度はその腰で地面
を押すことによって強く下げます。

その力で自動的に逆側の腰が上がるようになる動きを引き出すドリルが必要となります。

そこで、階段を利用した歩行ドリル(骨盤強調型階段歩行)や階段を利用したスプリントドリル(骨盤強調型スプリント)も考えます。

「腰で踏む」ためには、腰を水平回転させるよりも、上下に動かすことが重要であり、このドリルによって、「膝で踏む」のではなく、「腰で踏む」動作を習得させることができます。

腰を上下に動かすということは,解剖学的には股関節による外転動作のことであり,三次元動作分析を用いたバイオメカニクス研究においても,最近では踏み切りにおける外転動作の重要性を示唆する知見もあります。

(3)「腰で踏み切る」踏み切りドリルの習得

「膝で踏む」のではなく、「腰で踏む」動作を習得できます。

次は「腰で踏む」動作を、目的とする踏み切り動作に転移させなくてはなりません。

そのために、1歩の踏み切りドリル(骨盤強調型踏み切りドリル)と3歩の踏み切りドリル(骨盤強調型踏み切りドリル〜3歩〜)を行います。

いずれも、「腰で踏む」動作を踏み切りに転移させることを目指したものです。

そのために、これまでの踏み切りドリルとは異なり、一歩前の送り出し動作の局面から、「腰で踏む」動作に連動した動きを引き出すことができます。

これらのドリルを行うことによって、「膝で踏み切る」踏み切り動作から、「腰で踏み切る」踏み切り動作への変容を図ると上達します。

このようにして、「腰で踏み切る」踏み切り動作により次の空中姿勢への連携がスムーズになりますので、よく練習しましょう。