「走り幅跳び」での「助走速度と跳躍距離の関係」について説明します。


1. 「助走速度と跳躍距離の関係」に対する考え方

助走速度と跳躍距離の関係については深い関係にあります。

踏切前の全ての区間で最高速度において強い相関があります。

これらの中で踏切直前であるー区(踏切2m前から踏切まで)の速度との関係を、最高速度との関係で考えてみます。

助走速度を高めるためには、基本的には疾走能力に恵まれていることが必要であるが、 助走の仕方や、踏切前の走り方などの助走技術にすぐれていることも重要となります。

さらには、助走距離の取り方も影響するですから、自分に合った最適な助走距離を見つけ出すことも重要な課題となります。

いずれにしても、走り幅跳びにおいては、何よりも疾走能力に優れていることであり、疾走能力を高めるためのトレーニングや、さらにそれを利用し、助走速度を高めるための練習が不可欠で上達に深く関係します。

次に助走距離について見てみましょう。

助走距離と全力疾走における最高速度出現距離の比較から、自己の疾走能力が最大に発揮される距離よりも、助走距離の方が短いのです。

つまり、全体的に助走距離を伸ばした方が、踏切時に自己の疾走能力を最大に発揮しやすい。

助走距離は、長くても短くても記録に影響があると考えられます。




助走距が短かすぎると、 最高速度に達しないまま踏切ることになり明らかに不利になり、また、短い助走では運動の局面構造の準備局面である助走の局面での余裕がなく、主要局面としての踏み切りが不十分になります。

比較的長い助走においては、各技術の発揮に余裕があるので正確に動作できる利点があります。

しかし、余りに長い準備局面ではエネルギーを使いすぎて、踏切って跳び上がるための力が発揮できないことになります。

助走距離の長さは、基本的には各個人の疾走能力に関係するものと考えられますが、 疾走能力の優れている者ほど、 長い助走が必要となります。

というのは、疾走能力の優れている者ほど、最高速度が高く、最高速度の出現が遅くなるからです。

100m走のタイムをもとに助走距離を指摘しているものが多くあります。

しかし、助走距離は、各自それぞれの助走のもって行き方(走り方)や疾走のタイプ(ピッチ型やストライド型)によって左右されるし、さらには各自のその日の調子や走路の材質、天候(主と して風向)によっても変わってきます。

これらのことを十分に念頭に入れ、上達するためには助走練習や実際の跳躍を重ねて自己に適した助走距離を決定していくことが必要であると思われます。

このようにして、走り幅跳びでは、よく練習して自己に適した助走距離を決定していきましょう。