「走り幅跳び」での「ソフトトレーニングのやり方とコツ」について説明します。

走り幅跳びに対する心の持ち方やイメージトレーニングを中心にお話します。


1. 「ソフトトレーニング」に対する考え方

走り幅跳びは自分が跳ぶ時間帯に集中力を最大に持っていかなければならないと思います。

これは、上達の第一歩です。

急に跳ぶ時間がズレたりすることがありますが、そうしたときの集中力のコントロール法はありますか。

走り幅跳びでは、ピットに入ってから1分以内にジャンプを終えていなければなりません。

つまりピットに入ってから急に集中力を0から10に上げる時間的余裕はないのです。

だからピットに入る前から集中力を7ぐらいに高めておいて、それからピットに入って残り3ぐらいを高めるようにします。

そして、1本目が跳び終わって6くらいに落としてその集中力を維持し、次にピットに入る前に7にしてから、残り3を高めるようなリズムにします。

そうしたリズムの中でピットに入って最後の3を高め、『さあ、行こう』と思っても、トラック競技の関係でストップがかかる場合があります。

そういうときには、気持ちを切りかえるようにします。

そのコントロール法は次のような内容になります。

基本的には、競技から一度気持ちを外すようにします。

外的な要因でスタートにストップがかかるのはしかたがないと思いつつも、『せっかく集中していたのに』と腹立たしい気持ちになるときもあります。

ですから、競技から気持ちをそらすことでそうしたマイナス心理を打ち消すようにしているのです。

たとえば、『この試合が終わったら何を食べようか』、『今度何をして遊ぼうか』などと考えたり、スタンドを見渡して人間ウォッチングをしたりします。

これが比較的うまくいくのは、日ごろからの練習のときにはしっかり走り幅跳びのことを考え、練習が終わった瞬間からは全く考えないようにメリハリをつける習慣を身につける必要があります。

その次の過程として、外した気持ちを元に戻すにはどうするのでしょうか

やはり無の境地で跳ぶのがいちばんいいのです。

無理に頑張ろうと思わないように努力することです。

方法としては、無意識にできるようになり、集中できているときにはいつも決まった動作をしています。

これが条件づけであって、逆にその決まった動作というのは、両足ジャンプと手をブラブラさせながらの軽いジャンプです。

ある意味では、これは身体から心へのアプローチで、頭の中だけで集中しようとするよりも、心と身体の統一という感じで向いているように思えます。





2. 助走の1歩目から残りの3歩までに集中力を高めていく

「頑張らない努力」とは興味深い表現です。

いずれにしても身体に余計な力が入らないような試みということです。

今度は、助走から跳躍までのメンタル面でのコントロールについてお話しましょう。

集中力も含めて自分のメンタル面を本当に最高潮まで持っていくのは、跳ぶ直前の「3歩」からです。

助走のスタートから最高潮に持っていくと余裕がなくなってしまい、踏みきりのときにメンタル面でのバテが生じてしまいます。

だから助走の1歩目から残り3歩目までの間に徐々に高めていくのがベストです。

よく助走の前に観客に手拍子を求めるときがありますが、これは選手のメンタル面にどう作用するのでしょうか。

選手によっても異なるのでしょう。

たとえば、決まった動作による条件づけと同じような働きを求めて行う選手がいたり、どちらかというと、ひとつは観客に自分を見てくれというアピールに使っていることが多いです。

大勢の人々に後押しされるような気分になって、無理に自分を奮い立たせるようなことが必要なくなってくるのです。

二つ目は助走のリズムをつくるというのもあります。

その手拍子と自分が助走に入っていくリズムが合うときには非常に気持ちよく跳べます。

でも実際は途中でその手拍子が速くなって助走に入るタイミングが合わないときもあります。

そのようなリズムを日ごろの練習に活用するようなことはあるでしょうか。

初心者が、跳ぶ直前のリズムをつかむのに手拍子は活用できるでしょう。

手を跳躍の3歩くらい前から『タ、タ、ターン』とたたいてあげると、耳から入ったリズムにしたがって身体を反応させることができるのです。

これは言葉による説明よりも効果的に作用する場合が多いのです。

跳躍までの脚の運びをたくさんの言葉を用いて表現するのではなく、“擬音”によってスムーズにイメージをつかませるのです。

イメージトレーニングでも、この感覚・イメージをとても大切にして上達につなげています。

今後は、跳躍シーンを映像イメージとして活用することも考えています。

その映像イメージは感覚イメージと異なり、どちらかというとフォームを重視したものになるため、あまりイメージが強すぎると気持ちがそれに奪われてしまいます。

フォームに関してあれこれ余計なことを考えてしまうので、感覚イメージとのバランスのとり方が今後の課題になってくるかもしれません。

このようにして、心の持ち方も大事ですから常に考えて試合に臨みましょう。