「走り幅跳び」での「走り幅跳びの距離を徐々に伸ばしていく方法」について説明します。


1. 「走り幅跳びの距離」に対する考え方

走り幅跳びの距離を伸ばして上達する方法には、スプリント力の向上が重要になってきます。

また、走り幅跳びの跳躍記録の向上のためには、踏切後に身体が放物線を描いて着地につながるよう、踏切時に身体を上方に運ぶ直速度の獲得が必要となります。

踏切時において高い直速度を得るためには、踏切の瞬間に踏切足によってブレーキをかけることで水平速度を 直速度に切り替える必要があります。

しかしながら、高い 直速度を得ようとするあまり、踏切時の減速が大きくなりますと身体が高く上がる反面、跳躍距離が伸びなくなり記録の向上は望めません。

踏切前後における速度変化を示す速度減水率に差が認められませんが、跳躍角度が大きいものほど跳躍距離が大きいのです。

踏切時に発揮した直方向の推力と跳躍距離に相関関係が認められています。

すなわち、踏切において適度な直方向の速度の獲得は、跳躍記録になくてはならない要素です。

しかしながら、跳躍角度と走り幅跳びの跳躍記録との間に相関関係は認められません。

また、上級者のみにおいても跳躍角度と走り幅跳びの跳躍記録との間に相関関係はありません。

これは、跳躍角度を大きくするために踏切時に直速度を高めようとすると、踏切時にブレーキが掛かり水平速度の低下を招くと共に、接地時間の増加から跳躍記録は低下してしまうのです。




それで、跳躍角度は大きくすればいいというわけではなく、適切な範囲に収める必要があります。

高い助走速度を維持した状態で、16~21度の適度な跳躍角度で飛び出すことが記録の向上には重要であります。

また、重心位置の変化を見ると、重心の最大と最小の差を表す重心変異については上級者と差が認められません。

しかし、最も高い重心位置が現れる局面において、上級者の場合は踏切2歩手前から1歩前にかけて出現するのに比べ、跳躍角度が15度未満の初心者においては、踏切2歩前から1歩前の間の重心位置と、1歩前から踏切の間の重心位置の高さが同程度です。

重心位置を下げることによって、接地時における膝の屈曲が可能になると共に、疾走時の足の接地位置よりも前方で足を接地させることが可能となり、踏切時に足を突っ張ることでブレーキをかけ、直方向の速度を得ることが可能となります。

よって、上級者は踏切時に、大きな 直方向の速度を得るために足を突っ張り、ブレーキをかけるための準備として踏切1歩前から重心を下げた状態のまま踏切へ移行しているのに比べ、初心者においては踏切1歩手前から踏切にかけて重心位置が高いままであり、踏切時に十な跳躍力を得ることが出来ていないのです。

そこで、上級者においては、踏切1歩手前において重心位置を下げた状態を維持して踏切動作に入っているのに比べ、初級者の場合には踏切1歩手前から踏切にかけて重心位置が上下に大きく変動しています。

以上の点が、練習では重要となります。

このようにして、上級者のすばらしい点を一つ一つ取り入れてよく練習し上達しましょう。