「走り幅跳び」での「空中での運動適正化とコツ」について説明します。


1. 「空中での運動適正化」に対する考え方

走り幅跳びでの踏み切り手前~踏み切りの運動について見てみましょう。

ここでは跳躍のほとんどが決まります。

ここが上達するかしないかの重要なポイントになります。

一般に言われている方法である「3歩手前からストライドを狭めて腰を低くし、踏み切り板を強くたたいて跳ぶ」というのですが、はたしてこれでいいのでしょうか。

先ず、「3歩手前からストライドを狭めて」と「腰を低くし」という部分に注目してください。

世界のトップレベルのスピードをもつ人が上へ跳ぶため、前方回転を抑えるためなので、初心者がそんなことをしたら元々ないスピードをさらに削る行為となります。

だから、これは高いスピードを維持することになります。

では、どうやって上に跳ぶかというと、次の「踏み切り板を強くたたいて跳ぶ」ことですが、ここで考えます。

「跳躍」という一瞬の動作をもう一度冷静に考えてみるのです。

普通、垂直跳びのような跳躍により、その値なりバネの強さを計りますが、あのような膝を曲げた状態から体を伸ばしてエイッという動きは走り幅跳びでは使用しません。

走り幅跳びの跳躍は、膝を伸ばし固定したままでの跳躍するのです。

ここが。上達のこつ(味噌)となります。

これが出来れば踏み切りに余計な力は要らないのです。

しかも無駄な動きをしない分エネルギーを余計に使わずにすむのです。

だから、上体を持ち上げてやろうという力はほとんど必要ないんです。

水平方向のエネルギーに垂直方向の動きのきっかけを与えるだけで、体はスーパーボールのようにポンッと浮くのです。

感覚で言うと「トンッ」って感じです。

踏み切り板をたたくようにすると足の接地時間が長くなるでしょう。

つまりブレーキがかかります。

踏み切りの瞬間、その足に体重の数倍の力がかかると言われていますが、そのぶんエネルギーロスしています。

身体にわずかながらブレーキをかけることは無駄としかいえません。

新たな力を加えるよりも元々の大きな力を利用した方がはるかに楽で、しかもエネルギーロスがないのです。

つまり最終的に勢いは、後者の方があるということになります。

少しの動きで反発力を生むのです。

さらに冷静に考えてみると、強く地面をたたいたって上には跳べません。




その後の動き(蹴る動き)のほうが遥かに影響します。

「コンッ」のときは体がフワッと浮くのが分かるはずです。


2. その練習方法

主たる練習メニューはひとつ、「縄跳び」です。

やることは簡単で、2重跳び、3重跳び、4重跳び、です。

3重跳びを3回以上やるには、おそらく膝を曲げて跳んでいたら無理でしょうし、出来たとしても体力をかなり使うはずです。

ところが膝を伸ばし、足首を90度に固定した跳躍だと楽に跳べます。

無駄な動きも力も無いため体力も結構続きます。

2重跳びだと202回、3重跳びだと47回、4重跳びだと3回できるようになります。

次に、走り幅跳びフォーム(空中動作)について考えてみましょう。

飛び出したら重心の軌道は変えられません。

一度飛び出したら弧を描いて落ちるだけです。

ただ、体が前方に回転するのを防ぐことは可能です。

踏み切る瞬間に接地点を支点として前方へのモーメントが働きます。

跳んで何もせずに着地を決めるのは不可能に近いです。

それを出来るようにするのが空中姿勢です。

その第一歩が、踏み切りから着地にかけて水平線よりも上を見ていることです。

これでかなりの回転は押さえられ、この意識が大事です。

逆に、下を見てしまうとモロに前に突っ込んだり、着地の態勢をとれなかったり、立ったような状態で着地することになります。

上を見るのは結構怖いので、慣れるまでに時間がかかります。

そして、強く意識しておかないと跳ぶ直前に頭からそのことが吹っ飛んじゃいますから、自然に出来るようになるまで練習するしかありません。

他に、反り跳び、ハサミ跳びなどの行為も回転を押さえるのに役立ってます。

ただ、反るのを意識しすぎると、踏み切り手前でスピードが落ちてしまう傾向があるようです。

踏み切り動作が完全に終わってから反らなければいけません。

上体から突っ込みすぎなければ大袈裟に反る必要はありません。

踏み切りで突っ込みすぎたと分かったときは、もう無理です。

そして、失敗の原因を冷静に考えましょう。

その練習方法ですが、上を見るのはとにかく慣れです。

繰り返し練習しましょう。

あとは、踏み切りで「遠くへ」という意識は捨てましょう。

この意識だけで回転してしまいます。

常に頭において、かなり集中して練習してください。

このようにして、踏み切り手前~踏み切りの運動と空中運動はよく考えてしっかり練習しましょう。