「走り幅跳び」での「ハードトレーニングのやり方とこつ」について説明します。
1. 「ハードトレーニング」に対する考え方
ここでの、ハードトレーニングとは、基本的な体力アップのトレーニング及び訓練のことです。
走り幅跳びのための体力アップのトレーニングをして確実に上達しましょう。
先ず、「走り幅跳びのための体力アップのためのトレーニングをどのようにやっていけばよいのか」を考えます。
しかも、具体的なトレーニングメニューをまるまる示すのではなく、「それを組みたててゆくときの考え方」を中心に教えて、実際のトレーニングメニューは、その選手自身がつくるようにするのです。
そして、この脚を、もっと速く走ることができて、さらに、そのスピードで走り幅跳びの踏切ができるように変えてゆく必要があります。
走り幅跳びのための体力アップのためのトレーニングを組みたてるときのコツは、「速筋トレーニング」です。
2. 速筋トレーニングのはなし
「速筋トレーニング」というのは、「速筋を発達させるためのトレーニング」という意味です。
速筋を発達させるためにやることは、「筋肉に外から力を働かせ、筋肉が伸ばされる状態で力を生み出すようにする」ということです。
このため、リバウンドジャンプという運動などが中心となります。
もうひとつ、小さな負荷でもよいので、筋肉群のエネルギーを絞りとる、「オールアウトという状態へと追いこむ」というコツもあります。
「オールアウト」というのは、「これ以上はムリ」という状態です。
そのとき、故障することのないトレーニングを考えてゆく必要があります。
一般によく行われている、ハードルやミニハードルなどを両脚や片脚でぴょんぴょん跳びこえてゆくトレーニングは、オールアウトになったとき、ハードルが越えられなくて故障する可能性があります。
だから、これでは、オールアウトまで追い込むことができません。
お勧めの一つは、その場で垂直に跳び続ける、「サバンナジャンプ」です。
「両脚連続リバウンドジャンプ」と呼べば分かりやすいかもしません。
60回を1セットとして、何セットかくり返します。
腰に2キログラムほどのウエィトベルトをつけて行うこともあります。
平地でおこなう100mや200mでの片脚跳躍走も、オールアウトにもってゆくことができて、故障の危険も少なく、速筋トーニングとなります。
昔からあるトレーニングですが、これは確実に力がつきます。
土がまる出しとなっている公園の、木の丸太で土どめをしてある階段を、片脚でぴょんぴょんと上がってゆき、同じ脚で、ぴょんぴょんと降りてゆくというものです。
これは、土の階段だったので、オールアウトでも、そんなに危険はないものでした。
また、上がるだけでなく、降りることによって、速筋トレーニングとしての条件がみたされます。
ハムストリングスを発達させる、「ゴリラジャンプ」もあります。
この「ゴリラジャンプ」というのは、いわゆる、砲丸投のバックグライドの姿勢で行うものです。
「ゴリラジャンプ」は、ゴリラが両手をグーにして歩く、「ナックルウォーク」を片脚跳躍走としたものだからです。
この運動の条件は、両手で地面にさわるところまで支持脚の膝を曲げ、前に伸ばした上半身と、後ろに伸ばした「しっぽ脚」で、支持脚のハムストリングスをひっぱるというところにあります。
その場で上下に高く跳ぶものは、「ボルゾフジャンプ」と呼ばれているそうです。
「ゴリラジャンプ」は前方や後方へと水平に進むのが、どこでもやれるスタイルです。
少し危険ですが、低い跳び箱があったら、それに跳び乗ったり、跳び下りたりすると、効果はバツグンです。
腕と胸の筋肉群を発達させる、ベンチ2つを並べて、その間に上半身を下す「正式な腕立て伏せ」も、下がるときの運動が速筋トレーニングとなります。
各種の腹筋運動でも、起こすほうにではなく、下ろすほうで「止める」運動のほうが速筋トレーニングとなるわけです。
速筋トレーニングがうまくいったら、翌日ではなく、二日後に、筋肉に痛みが生じて、まるで、おもちゃのロボットのようにしか歩けなくなります。
だから、このようなことをあらかじめ考えておいてトレーニングすることになります。
100mが14秒前後で、走り幅跳びは4m70くらいからスタートしたのですが、ひと冬トレーニングした翌年には、100mは13秒0に、走り幅跳びのベストは5m55にまで伸びました。
ひと冬、しっかりと速筋トレーニングをすると、これくらい伸びるということなのですが、多くの人たちは、中途半端なトレーニングしかやっていないため、ここまで伸びることは、めったにないようです。
また、すでに大人の年齢に達していたということも、このような発達につながったということも考えられます。
発育過程の初心者では、ここまで変化しないかもしれませんが、「速筋トレーニング」や「オールアウト」に注意してトレーニングしてゆけば、それなりに変わってゆけると思われます。
これは、必ず上達します。
このようにして、「速筋トレーニング」や「オールアウト」に注意してトレーニングしましょう。