「走り幅跳び」での「適切な練習方法を初心者に伝えるやり方とコツ」について説明します。
1. 「適切な練習方法を初心者に伝えるやり方」に対する考え方
客観的に理解していても相手にその情報を教えて知覚させることは難しい。
足を速くする方法として振り戻し速度を速くするように教えたつもりが、速くなるどころかタイムが落ちてしまうことがあります。
これは選手達が振り戻し速度を速くすることを意識し過ぎて、他の動作への流れの妨げになってしまったからです。
しかし、真下に踏みつけて走れという指示により、選手のスピードはアップし上達します。
というのも、振り戻し速度を速くするという客観的な情報は理論的に正しいのだが、そのまま伝えてしまえばそこを重視するばかりで他の動作との円滑な流れを乱してしまうので、思考にあった動作の流れをスムーズな状態に保てる教え方として「真下に踏みつけろ」というアドバイスをしたのだろう。
客観的な情報を主観的な知覚・感覚に合わせて伝えるためには、いろいろな方向から客観的な情報をもたらす結果は同じであるが別の形の情報として変換する必要があります。
例えば、足の動作を、地面を蹴る音のリズムとして伝えたり、動かしたい体の部位と違う部位を動かすことで自然に動かしたい体の部位の動作を促すなどアプローチの方法はたくさんあるのです。
踏み切り動作の跳躍角度は45度が最もよいと考えていたが、実際の所10度〜20度が最も良い。
この理由は45度の場合を速度一定という条件が前提条件であり、速度が一定であることは不可能であるのでこのような結論がでたのであろう。
ここで、跳び出す角度の最適な角度がわかったが、実際に10度〜20度で跳ぼうとすると、かえって結果が悪くなります。
なぜなら、人間の感覚(10度〜20度で跳ぼう)が実際の角度とは大きく異なったからです。
これが主観(人)と客観(データ)のずれとなります。
まず「高く跳ぼう」というのではなく、跳ぶ方向の少し高い所に置かれた、「目印」を見ようとしたり、「遠くへ跳ぼう」ではなく跳躍中に手を上に上げないと触ることができない位置に「接触物」を置き、「踏み切る直前の速度を最高速度にしないといけない」を「ダン・ダ・ダンというリズムで入る」といったわかりやすく変えるのです。
この方法での指導での記録は飛躍的に伸びることは一目瞭然です。
また練習方法にも選手のメンタルが影響しています。
2. 主観と客観のずれに対する考え方
バイオメカニクス・スポーツのスキルにおける主観と客観のずれに対する考え方があります。
スポーツに関する主観と客観のずれとは、客観的な分析では振り戻し速度が速く、主観的な意識では振り戻し速度を速くしようと思いますが、客観的な結果は振り戻し速度が遅くなるのです。
そのなかでは、客観的情報として走り幅跳びの4局面である、踏み切り動作、空中フォームと着地、踏み切る直前の走り方、助走についての情報を与え、目印、接触物を使っての主観と客観のずれを克服するための練習方法や、「ダ・ダ・ダン」のリズムで踏み切ることなどがあります。
外界世界の客観的情報と自分自身の主観的な知覚とにはギャップがあり、それはしばしば目の錯覚という形でも現れます。
走り幅跳びにおいて、最も良いとされる跳躍角度は10〜20度程度であると言われています。
これは、助走のスピードを出来るだけ生かしながら跳ぶのに適しているからです。
しかし、10〜20度で跳ぼうと意識すると、跳躍距離は低下してしまいます。
そこで、「高く跳ぼう」とするとよい記録につながる訳です。
主観と客観のずれを埋めるために、踏み切り時に「目印」を見て跳ぶというような方法も考えられています。
空中フォームについては、腕を高く上げてから素早く振り下ろすことによって、着地点を少しでも前へ出来るが、ここでも、「接触物」を用いることによって主観と客観のずれを埋めることができます。
このようにして、他人からの色々なアドバイスも常に自分でよく考えて練習して上達しましょう。